2012年10月16日火曜日

都々逸見聞録 その壱

皆様ごきげんよう、瑠扇に御座いんす。

昔から「一雨ごとに寒くなり、一雨ごとに暑くなる」なんて言いますが
本当にここ最近はぐぐっと秋らしくなってまいりましたね。

外に出るとそよ風にのって金木犀の良い香りが漂ってきて
お天気の良い日は、なんだかワクワクした気分になりますし
夕方頃には秋の虫の音色が心地よい、なんだかほわっとした気分になりますね。

朝晩の気温の変化が激しい季節でもありますから、風邪などひかれませぬよう
皆様、御体御自愛くださいましね。


さて本日は
遊廓には縁の深い題材のひとつでもある、
都々逸の紹介をこれからさせていただきたいと思います。
なぜ遊廓に縁が深いのか?

主として男女の恋愛を題材として扱ったものが多いからでありんす。^^

先ず都々逸とは、簡単に説明しますと
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江戸末期に初代の都々逸坊扇歌(1804年~1852年)によって大成された口語による定型詩。
七・七・七・五の音数律に従った、三味線と共に歌われる俗曲で、
音曲師が寄席や座敷などで演じる出し物である。
七・七・七・五の音数律に従うのが基本だが、
五字冠りと呼ばれる五・七・七・七・五という形式もある。
(wikiペディアより)
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と、まぁこういったものであります。
ここでひとつ有名な都々逸を・・・。

『三千世界のカラスを殺し 主と朝寝がしてみたい』
高杉晋作


鴉は、遊女が客と取り交わす「浮気はしません」という起請文を、熊野の神様に届ける役目をしています。(熊野神社の神の遣いとされていたのが鴉です)
そうして交わされた約束が一つ裏切られるたびに、神の使姫たる鴉が三羽死んでいくといわれています。
(起請文は三枚一組なので、一回破るごとに一枚につき一匹、都合で三匹)死ぬとされたわけです。)
つまり、
三千もの仏様がいるこの世の、あらゆる場所に生息する鴉をすべて殺してでも、主様といたい

「今まで数限りない起請文を書いてきたが、世界中の鴉が死んでしまう事になってしまおうとも、それでも今だけは貴方と一緒に朝まで寝ていたい」

といった意味のとても情熱的で艶っぽい唄です。
七七七五のわずか二十六文字にここまで強い意味を持たせるのですから、言葉とそれに潜む背景というのは非常に興味深いものですね。

今回は長々と都々逸の概略から、代表的な唄の意味まで説明しましたので
若干読みづらい部分もあったかと思いんす。
次回からは
わっちの気に入っている都々逸に焦点をあてて、
楽しんでいただけるようにご紹介していきたいと思いんす。

今宵も陽気で艶やかな遊女たちが貴方さまのおこしをおまちしておりぃす。
是非お越し下さいなんし・・・。

太夫瑠扇





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